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参ります - Notebook過去ログ(2011年)

2011/10/10

ちょっとテスト。9/18富山での演奏風景。会場の方が、知らないうちに撮影&YouTubeにアップロードしてくださっていました。

このとき着けたバロックなカツラですが、あれすんごく暑いんですよ。両脇の房が遮るので、顔面の通気性が限りなくミニマム。バッハもヘンデルもよく我慢していたもんですね。現代のビジネスマンの真夏のスーツネクタイみたいなもんですか。

2011/10/24

相変わらず好奇心の赴くままに限定解除やってます。12月に向けての仕込みの中から一つ。左が本家のロックバンド、右が私の二台チェンバロ編曲(&二重録音)です。

 

原曲に忠実な形では以前1台でやりましたので、今回は思いきり自由にアレンジしてみました。かつてダウランドのラクリメや、モンテヴェルディのアリアンナがそうだったように。

譜面がひとまず出来上がったところで、鳴り具合の確認としてこうして二重録音を試してみたのですが、やってみると案外難しいんですね。普段生身の人間としか合わせていませんし、なにより「手酌」になるので、相方と仕掛けあうアンサンブルの醍醐味が…。でもこの曲も、演奏会ではちゃんと二人で弾きます(飯田万里子さんと)から、そこは心配ないというか、むしろ楽しみです。

多重録音といえば随分昔にラジオで、クレーメルがバッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲を、自分でソリスト二人分弾いて重ねた録音を聴いたことがあります。古楽畑でもキングス・シンガーズが、タリスの40声のモテットを6人で歌ったディスクを出しているそうです。私はまだ聴いてみていないのですが。

2011/11/19

一ヶ月ほど前に、東京で第1回チェンバロ・フェスティバルが開かれました。名だたるチェンバロ奏者たちがずらりと並んで、10台のチェンバロで同時に(1台用や4台用の曲を)演奏する企画があり、私は行けなかったのですが、演奏の模様の一部が公式アカウント(?)からYouTubeに上がっています。

これに際してチェンバロ奏者の渡邊温子さんが「美的許せなさの限界を超えていた」と吐露なさった上で、現代のチェンバロ弾きのジレンマを率直に書かれていて、心を打たれました。私も思いを共有するところです。

  一方で、私がバロック以外のものを弾いた演奏は、生粋の古楽ファンにはたぶん評判が悪いと思うのですね。たとえば私が上記10/24付に載せたようなロックは、それこそ美的許せなさの限界を超えているだろうな、とか。同時におそらく、当該曲のジャンルのコアなファンにも。

分野を問わずになんでも聴いたり弾いたりするようになってから、ちょうど海外に渡った人のように、世界がどれだけ多様であるかを肌身に知るとともに、古楽が自分の中にどれほど深く根を下ろしているかをしばしば感じます。距離を置いてはじめて相対視できたのでしょうし、また、蝋燭の時代の極意を忘れてしまうのではないかという恐怖や、美意識の混乱と常に戦ってもいます。こうした文明間の摩擦を(内的にも外的にも)どのように昇華していくかは大きな課題です。

Last modified:2012/01/15 08:54:54
Keyword(s):[雑記]
References:[Notebook]