新たな旅装に身を包み、音楽の巡礼へ出かけましょう。
最初の札所はヴェルサイユの離宮。優美でお洒落な世界へようこそ。
2003年10月26日 14:00開演 於 珈琲だけの店 交響楽 L. N. クレランボー (Louis-Nicolas Clerambault, 1676〜1749) アルマンドとドゥーブル カンタータ『蜂に刺されたキューピッド』 L. クープラン (Louis Couperin, before 1626〜1661) 荘重なアルマンド〜バスク地方のブランル〜シャコンヌ F. クープラン (Francois Couperin, 1668〜1733) 聖水曜日のためのルソン・ド・テネブレ 第三課 金泉晶子(ソプラノ) 加藤晶子(ソプラノ) 笠原恒則(チェンバロ) 初回の会場は20席限定の小さな珈琲屋さん。そのためチェンバロも小型のもの(スピネット)を選び、奏者と客席のあいだもほとんど零距離です。飴色の木材で組まれたお店の上品な内装に、スピネットの白木がよく映えます。 カンタータというとバッハの宗教作品を連想される方が多いと思いますが、フランスのカンタータはむしろ本来のイタリアのものに近く、ごく小編成です。サロンのような小さく私的な場のために書かれ、洒落たミニ・オペラとでも言えばよいでしょうか。 ルイ・クープランは、この三人の中で唯一、一時代前の音楽家ということになります。それをあえて取り上げたのは、この日お披露目だったスピネットの特性にマッチして効果的だったためです。またそうでなくとも彼は、(笠原の師匠の岡田龍之介氏の言葉を借りれば)、チェンバロという楽器を知り尽くし、その良さを引き出すことにかけては、チェンバロの歴史の中でも五本の指に入るほど。チェンバロ弾きにとっては、とても親しく大切なレパートリーです。 プログラムの最後は、フランソワ・クープランのルソン・ド・テネブレ。受難週の礼拝の音楽で、イェルサレムの町が放蕩に明け暮れ、神をないがしろにしたために滅びた故事を歌い、もって参列者にも自らの行いを省みるよう促します。本来は夜明け前の早朝に、13本の蝋燭だけが照らす薄暗いお堂で行われていました。一節歌い終わるたびに蝋燭を一本ずつ消していき、最後には暗闇に沈んで黙想します。月夜の淵を思わせる透徹した深さを持ち、この種の作品の最高峰とされています。 Play back... カンタータ『蜂に刺されたキューピッド』から 「皆に君を頌えて歌わせよう...」 聖水曜日のためのルソン・ド・テネブレ 第三課から 「イェルサレムの民はみな...」 再生方法などはこちら |