第四回演奏会

次の札所はドイツのケーテン、マリア・バルバラの墓の前.
そこに佇むバッハが想うは、最愛の妻との出会いと別れ.

 

2004年4月11日 14:00開演

於 坂井輪地区公民館 音楽室

J. S. バッハ (Johann Sebastian Bach, 1685〜1750)

  結婚カンタータ『いまぞ去れ、悲しみの影よ』 BWV202 より

    アリア 「愛の修練にいそしみ」

    ガヴォット 「満ち足れる平安のうちに」

  教会カンタータ『心と口と行いと生活をもって』 BWV147 より

    アリア 「備えたまえ、イエスよ」

    コラール 「幸いなるかな、われイエスを得たり」 (主よ、人の望みの喜びよ)

  ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第四番 ハ短調 BWV1017

  教会カンタータ『キリストは死の縄目につきたまいぬ』 BWV4 より

    第四節 「神の子なるイエス・キリスト」

  追悼頌歌『侯妃よ、さらに一条の光を』 BWV198 より

    最終合唱 「されど侯妃よ、御身は死にたまわず」

(アンコール)

    コラール 「幸いなるかな、われイエスを得たり」 (主よ、人の望みの喜びよ)

横田聡子(ソプラノ)

奈良秀樹(ヴァイオリン)

笠原恒則(チェンバロ)


 第四回は日取りをイースター(復活祭)に設定し、オールバッハ・プログラム。バッハにとってある意味もっとも身近なジャンルであったカンタータから拾っていって、結婚、日々の平和、死、甦りの信仰、思い出といった、彼の人生の一コマを汲み取ることを企図しました。

 ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタは、通奏低音の即興が常であった当時にあって珍しく、チェンバロのパートをすべて記譜しています。「トリオ・ソナタを二人で」という考えから始まった一連の試みでしたが、このヴァイオリンソナタに至ってバッハは、ガンバ・ソナタなど事前の数作で得た経験をフィードバックし、ついに完成の域に達しました。綿密な構成もさることながら、初期にあった「旋律楽器のパートをそのまま右手で弾いただけ」という感はもはや見られず、鍵盤楽器に即した語法によって高い演奏効果を上げています。
 中でも傑作なこの第四番は、マタイ受難曲のアリアにも通ずるような第一楽章冒頭の旋律から既にそうですが、全曲に悲しみの気配を漂わせています。シュバイツァー博士はこれを、愛妻マリア・バルバラと死別した悲しみの中で作曲されたためとしました。学問的な裏付けはなく、真偽のほどは不明ですが、しかし魂の奥底まで届くようなこの曲は、そうであっても不思議はないと思わせる情感を湛えています。


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ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第四番 から 第四楽章

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