第八回演奏会

甘き薔薇を育む豊壌の谷の園丁,
イギリスのオルフェウスと称えられし,
その名はパーセル.

 

2004年12月25日 14:00開演

於 新潟市音楽文化会館 練習室13

H. パーセル (Henry Purcell, 1659 〜 1695) 

  恋の病から空しく逃れん

  美しい島よ
  祭壇を飾れ
  もし音楽が恋の糧なら

  聞け、空にこだます勝利の歌を!
   シャコンヌ
  泣かせてください

  アルマンド 〜 クーラント 〜 ラウンドO

  薔薇の館から

  夕べの祈り

西門優子 (ソプラノ) 

大作綾 (リコーダー / 朗読) 

笠原恒則 (チェンバロ) 


 第八回は12月25日の昼下がりの開催。会場も赤や緑の布で飾ってクリスマス仕様です。

 今回はプログラムの全曲を、ヘンリー・パーセルの作品で構成しました。パーセルは英語と音楽の密着した歌曲を十八番とし、死後に出版された集大成のタイトルでは、神話の桂冠詩人になぞらえて、「イギリスのオルフェウス」と諡されています。惜しいことに36歳の若さで夭折してしまいますが、イギリス生え抜きの音楽家で彼に比肩する者は、以後現れませんでした。

 パーセルの声楽作品は、一つ一つの言葉がもつ響きとニュアンスに、実に丁寧に寄り添っています。モノディ以来の伝統で、当時の音楽家は程度の差こそあれ歌詞を大事にして作曲していますが、音楽(旋律や和声)の論理と朗唱の論理とを完全に両立させるのは困難なものです。パーセルは詩を優先していますので、演奏にあたっても言葉と発音を中心にし、ときに音楽の流れを撓めてでもそちらを立てることになります。この辺り、歌を優先した後期イタリアのオペラとはまた違った趣があるところです。

 字幕を立てた前回に対して、西門さんの発案で、今回はまた別な試みを行いました。リコーダーの大作さんが俳優としての顔を併せ持ち、朗読の訓練を受けていることを利して、最初にチェンバロの小品をBGMに訳詞を朗読してから、はじめて歌に入るというものです。それを踏まえて、訳詞の作成にあたっても、声に出したときに効果が上がるように気を配りました。ただし、朗読中にチェンバロを弾くことについては、「音楽の鳴らない時間が欲しい」という声もあって、功罪相半ばする結果だった模様。


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 奏者の考え方により、今回は音源公開はありません。あしからず御了承くださいませ。