第九回演奏会

悲劇の女王
怒り、悲しみ、ため息をつき.

 

2005年2月27日 19:30開演

於 新潟市音楽文化会館 練習室13

G. F. ヘンデル (George Friederich Handel, 1685 〜 1759) 

  カンタータ『死に向かうアグリッピナ』 HWV110 より アリア「この世で不幸せだとしたら」

  カンタータ『ルクレツィア』 HWV145

  ヴァイオリン・ソナタ イ長調 作品1-3 HWV361

  カンタータ『捨てられたアルミーダ』 HWV105

横田聡子 (ソプラノ) 

高橋美也子(ヴァイオリン)

鷹巣桂 (チェロ)  

笠原恒則(チェンバロ) 


 第九回の主役はヘンデルです。ヘンデルは20代の青年時代に故郷のドイツを出て、オペラの本場イタリアに渡りました。のちに見せるスケールの大きな節回しは、このイタリア滞在中に身につけたもので、そうした頃に書かれた今回の曲目には、ヘンデルならではの個性が端々から感じられます。
 イタリアで生まれたカンタータはその名の通り「歌」であり、レチタティーヴォ〜アリアという黄金パターンを重ねてできています。物語もドラマチックな題材が選ばれ、役柄と演技、それに舞台装置がないことを除けば、ほとんどオペラと変わりません。

 最初の『死に向かうアグリッピナ』は、烈女で知られる暴君ネロの母親を主人公に、帝位につけてやった息子に殺される恨みを、『ルクレツィア』は古代ローマを舞台に、陵辱された貞女の呪いを、『捨てられたアルミーダ』では有名なオペラ『リナルド』と同じ物語からとって、十字軍の騎士に恋したサラセンの魔女の嘆きを、それぞれ語るものです。
 いずれも、悲劇に見舞われた女主人公のドロドロした怨念が満ちており、それを描き出すヘンデルの表現力たるや凄まじいものがあります。しかも、濁った調性や不協和音をこれでもかというほど重ねて無念を迸らせる『ルクレツィア』に対して、『捨てられたアルミーダ』では、裏切られながらも恋人を憎めずに立ちつくす心情を、苦みを含みつつも不思議に透明にたゆたうシチリアーナで描くなど、ヒロインの性格によって曲調を巧みに変えているのは見事の一語。


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G. F. ヘンデル :

  ヴァイオリン・ソナタ イ長調 第四楽章から

  カンタータ『捨てられたアルミーダ』から 「この深い悲しみに...」

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